犬にもアレルギーがあることは今や誰もが知っていることでしょう。
犬が体を掻く仕草を目にする度に、「もしかしてアレルギー? 」と不安になることはありませんか?
犬のアレルギーや皮膚疾患は治療が長期に及ぶことが多く、早期発見・早期対処が理想的です。まずは愛犬のかゆみをしっかりと見極めてあげることから始めましょう。
犬のかゆみには3つのタイプがある
初めて犬を飼うとき、これまでに飼育した経験のない犬種を家族に迎えたとき、些細な行動でもしかしたら病気のサイン? アレルギー? と不安になることはありませんか。
テレビや雑誌、友人の話題の中にも度々犬のアレルギーに関する話題が多く、その治療や食事管理の大変さを耳にしているとなおさらのことでしょう。
犬が体を掻く理由は、
- カーミングシグナル(リラックス効果を引き出すための生理現象)
- 皮膚、体の不快感の為
- ストレス性の自傷行為
を挙げることができます。
1.カーミングシグナル
人間の「深呼吸」に似た行動です。多くは座って首回りや脇腹を数回掻きます。
非常に軽く掻くので、この行動が原因で出血をする、傷口が出来ることはありません。
大抵の場合は、犬それぞれの癖があり、毎回同じ向き、同じ場所を掻くようになります。
この行動が見られるタイミングは
- ソファーや自分の寝床でリラックスしている時
- 飼い主に叱られたり、飼い主の不機嫌さを感じた時
- 散歩中に見知らぬ犬に遭遇し、冷静さを保ちたい時
- 自分より幼い、小さな犬と遊ぶ時に、攻撃の意思がないことを相手に伝える時
などです。人間が深呼吸をしたり、背伸びをしてリラックスをする時の心持ちに似ています。
さほど頻繁に行うことはなく、中には一日数回程度のこともあります。やや神経質な性格の犬の場合、やや回数が多いこともありますが、数回同じ場所を掻くだけで自然と治まります。
2.皮膚、体の不快感
「かゆみ」の原因はさまざまで、
- アレルギー
- ノミダニの寄生
- 皮膚の乾燥
- 内臓疾患
などです。なかなか外見からの判断だけでは原因の特定が難しいでしょう。
この症状は正しく原因を特定し、正確な治療を施す必要があります。
かゆみは全身にくまなく起こり、ときにはとても強く不快な程度にまで悪化します。
強く掻くことで出血や脱毛が見られることもありますが、なかなか自制することが難しく何度も掻き続けてしまいます。
特に口、後肢が届く部位はより掻き壊しの可能性が高くなるので、患部を保護する工夫が必要です。
3.ストレス性の自傷行為
かゆみが体内から起こるのではなく、掻き壊したり、噛んだ傷口が直りかけるタイミングでかゆみを引き起したり、何度も噛むことが癖になっています。
大抵の場合、前足の先端、後肢、尾などの口や足が届きやすい部位を何度も繰り返し掻き続けます。
病気やストレスが原因のかゆみは、時間を問わず愛犬を襲います。
- 遊びの合間
- 自分の寝床でリラックスしている時
- 飼い主に撫でられている時、抱っこされている時
- 食事の最中
など本来は楽しく過ごせるはずの時間を中断してまで犬が体を掻く場合は、何等かのSOSのサインです。
病的なかゆみは早期対処で治療負担の軽減が可能
アレルギー、ノミ、ダニ、皮膚の乾燥など、なんらかのケアが必要な症状は、治療が早期であればあるほど愛犬の負担を軽減することができます。
皮膚は一枚の大きな布のような形状です。
ある一か所で何等かのトラブルが発生した場合、時間の経過共に隣接する部位にその症状が拡大します。この拡大をいかに早期に食い止めるかが重要なのです。
アレルギー性のかゆみの場合
動物病院で原因となる物質を特定しましょう。
かゆみが酷い場合は、一時的にかゆみ止めの処方薬を活用しましょう
生涯にわたって原因となる物質を生活の中から完全に除去しましょう
実は犬のアレルギーの原因は、食べ物以外にも金属や日々使用するスプレー剤などが関係していることもあります。
金属製の食器や首輪に使用されている金具などが原因のこともあるので、かゆみの原因を特定する為にも動物病院で血液検査を受けましょう。
ノミダニが原因の場合
- 動物病院で専用の駆除剤の処方を受けましょう
- 完全に駆除が済むまでシャンプーは獣医師指定の製品を使いましょう
- ノミダニによるアレルギーを併発している事もあるので正しく治療をしましょう
ノミダニの寄生は、事前に予防策を講じていても万全とは言えません。
万が一寄生が見られる時は、早期に動物病院を受診しましょう。
市販の駆除剤の中には、殺虫効果は非常に高いものの、犬の体には有害な成分が含まれていることもあります。
中にはノミダニによるアレルギーを併発し、皮膚表面がトラブルを起こし過敏な状態になっていることもあります。飼い主の判断だけでなく、獣医師の判断も元に正しく駆除、治療をしてあげましょう。
病的なかゆみは温度や血行で促進されます
犬のかゆみは単なる生理現象かそれとも何等かの病気のサインかの見極めは、「温度」によって症状の変化がみられるかどうか?でも判断することができます。
もし単なる生理現象、一過性のかゆみであればシャンプーや寝床に入ること、運動後にかゆみが強まることはありません。
逆に疲労感を感じることでぐっすりと寝入ってしまうでしょう。
しかしアレルギーや皮膚の乾燥、内臓疾患による病的なかゆみの場合、シャンプーや運動などで血行が促進されることで体温があがり、かゆみが強まります。
たとえば
- 散歩の最中に立ち止まり体を掻く
- シャンプーの最中に体を掻く、齧る
- 夜、寝床から何度も起き、体を掻く
などです。病的なかゆみは犬の安眠を妨げます。
犬は眠る時、体を丸め自身の体温で保温効果を高めます。
でもこの行動が裏目に出てしまい、体温が上がった結果更にかゆみが強まるのです。
このようなかゆみの強弱が見られる時は、早期に動物病院を受診し、原因を突き止めてあげましょう。
症状が見られる期間は
- シャンプーの湯音は低めに設定をし、短時間で済ませる
- シャンプー後のタオルドライは、表面からタオルを押し当て水気を吸い取る様に行う
(全身をタオルでこすると、マッサージ効果でかえって血行が促進されます) - ドライヤーは低温、短時間ですませる
- 散歩は、気温の低い朝、夜に短時間で済ませる
- 帰宅後は涼しい場所で体を休めることができるように工夫をする
などのケアを家庭で行ってあげましょう。
犬にとってかゆみは人間の想像以上の苦痛を伴うものです。
早期発見、早期治療を心掛けてあげましょう。