犬の皮膚は、人間の皮膚の厚さの1/3といわれるほどの薄さで、とてもデリケートな構造です。そのため、たくさんの被毛で保護されています。この薄い皮膚を健康な状態に保ち、不調があれば十分なケアをしてあげることが大切です。
今回は、犬に多いとされる皮膚病をいくつかご説明させていただきます。
アレルギー性皮膚炎
主に食事に含まれるアレルギー物質が原因で起こる症状です。強いかゆみ、赤み、脱毛を伴うことが多く、中には自ら体を掻き壊してしまい傷口が出来てしまうこともあるほど。アレルギー性の皮膚病の対処には、原因となる物質を特定し、食事から完全に除去する方法が一番効果的です。
ドッグフードを購入するときは、パッケージの原材料表示欄をしっかりと確認し、原因物質が含まれていない製品を選びましょう。またアレルギーの症状には個体差があり、親子、兄弟でも症状の現れ方や現れる時期が異なります。発症の原因もさまざまで、遺伝性の症状もあれば同一栄養素の過剰摂取が原因の場合もあり、完全な特定は難しいとされています。
アレルギーによる皮膚炎は、体の内側から起こり、犬にとっては相当なストレスになります。特に運動後、シャンプー後など血流が盛んになったタイミングでかゆみが強まることがあるので注意が必要です。
ホルモンバランスの乱れから起こる不調と解決方法
犬の避妊去勢手術を生後半年未満に施術する方法が主流となる中で、身体的な成長の過程でホルモンバランスの不調が起こることがあります。特にメス犬に多く見られる症状ですが、生後3歳を過ぎた頃から次第に抜け毛が目立つようになり、中には被毛が完全に抜け落ち、再生しないこともあります。
この症状は、強いかゆみを伴わないものの、完治させ元の状態に戻す治療法が確立されていません。そのため、家庭では洋服を着せたり、室温管理するなどケアをしてあげましょう。本来、被毛で覆われているはずの皮膚はむき出しの状態になることで、皮膚が過剰に乾燥してしまったり、怪我をしやすくなったり、肌荒れを起こすことがあります。このような時には、皮膚表面の状態をもとの健康な状態に近づけるために保湿やマッサージなどのケアがおすすめです。
細菌や炎症が原因で起こる皮膚病、肌荒れの解決方法
生後間もない子犬や免疫力が低下しているシニア犬に多く見られる症状に、病的な皮膚病、肌荒れがあります。原因となる細菌はさまざまですが、アカラス、真菌といった病名が一般的です。皮膚の表面や内部、毛穴に細菌が繁殖することで被毛が抜け落ち、肌荒れがおき、強いかゆみを伴います。
このような病的な症状は、早期に動物病院を受診し治療薬の処方を受け、薬用シャンプーで体を清潔に保ってあげることで治療が可能。ただ、通常よりもシャンプーの頻度が高くなると、ドライヤーの熱による皮膚の乾燥を招きやすいので、適度な保湿のケアも併せて行ってあげると良いでしょう。